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表千家と裏千家の違い

*茶道の表千家と裏千家の違いのメモです。基本的には、一番シンプルな薄茶の平点前(風炉・女点前・棚なしの運び水差し)についての事柄のみです。
*一応細かい部分はちょっとずつ違いますが、基本的には表も裏も(多分それ以外の流派も)ほとんど同じです。もし流派を変えても、違う部分だけちょっと覚えれば大丈夫です。
*表千家の男点前は、棗の甲拭き有り・片付け時に茶杓を持ったまま帛紗をさばく・引き柄杓ありなど、比較的裏千家の点前に近いようです。
*書き間違いや覚え間違い、先生によって違うものやお家元の方針によって変わるもの等もありますので、あくまで参考程度にどうぞ。
  表千家 裏千家 メモ
[その他]帛紗1 女性の点前帛紗は朱色(ほぼ橙色に近い色)、男性は紫色。 女性の点前帛紗は赤色、男性は紫色。 ぼかしや絵柄入りの友禅帛紗は、裏千家限定です。
[その他]帛紗2 出帛紗(だしぶくさ・点前帛紗と同じぐらいのサイズ) 古帛紗(こぶくさ・点前帛紗の1/4程度のサイズ) 古帛紗は薄茶を客前に運ぶ時に使いますが、出帛紗は薄茶の時には使われません。
部屋に入る時 左足から 右足から 出るときは逆の足から
畳を歩く時 1畳6歩 1畳4歩 -
立ち上がる時 両足を揃えて一度に立ち上がる 片足を立ててから立ち上がる -
水差しを運ぶ時 茶道口(茶室の入り口)で、水差しを自分の正面に置いて礼。 茶道口(茶室の入り口)で、水差しを斜め前(建付・柱の側)に置いて礼。 -
建水を運ぶ時 茶道口を閉める。 茶道口は閉めない。 裏千家も、濃茶の時は茶道口を閉めます。
建水から蓋置を取り出す時 柄杓を少し持ち上げて蓋置を取り出し、柄杓を建水に戻してから、蓋置を置く。(その後、柄杓を建水から取って蓋置にかける。) 柄杓を鏡柄杓で構えながら蓋置を取り出し、柄杓を蓋置にかける。 -
柄杓を蓋置にかけた後 総礼をする。居住まいを正してから、建水を進める。 (平手前では総礼はしない。)建水を進めてから、居住まいを正す。 -
帛紗を腰から取る時 三つ折りにして、帯から抜き取る。 二つ折りにして、帯から抜き取る。 -
ちり打ち 平点前でもやる。(点前で棗を拭く前、片付けで茶杓を拭く前など) 上級のお点前にならないとやらないらしい。 ちり打ち:帛紗を三角にして横に持った状態で、ちょっと緩めて「パン」と音を出すアレです。
帛紗をさばく(畳む)時(三つ折り) 三角にした後、縦に持って、左手を真ん中にあてて三つ折りに折る。 三角にした後、横に持って、左手の三本の指[中指・薬指・小指]を自分の側に出した状態で縦にして二つ折りにする。さらに一つ折り返して三つ折りに。 表千家のやり方のほうがちょっと難しいです。
帛紗をさばく時(三つ折りにして細くした後) 真ん中から二つ折り→更に二つ折りにして、残りの端[しっぽ]をさらに折り込む[微妙に三つ折り] 真ん中から二つ折り→人差し指で一の字を書くようにしながら更に二つ折り -
棗を拭くために、さばいた帛紗を更に二つ折りにする時 さばいた帛紗の両端を両手で持って、左右対称に折り曲げて二つ折りに さばいた帛紗を右手で持って、揃えた左手で左端を押すようにして二つ折りに -
  表千家 裏千家 メモ
棗を拭く時 「こ」の字に拭く(裏千家で言う二引きをちょっと丸くした感じ) 上下を[「こ」の字に]拭いた後、蓋の上に帛紗を横に置いて一つ広げて[二つ折りでない状態に戻して]、手のひらで上下にずらして蓋全体を拭き、右に抜き取る。 中棗の場合です。吹雪・中次などは表千家も裏千家も二引き。
茶杓を拭いた後 帛紗を茶杓の節のあたりまで戻して、横に抜き取る。 茶杓のかい先から向こう側に帛紗を抜き取る -
釜の蓋を開ける時 茶杓を拭いた後の帛紗を、建水の前に置く→柄杓を構える→帛紗を取って、釜の蓋を開ける。 茶杓を拭いた後の帛紗を、左手の人差し指と中指の間に挟む→帛紗を挟んだまま、親指と人差し指の間で柄杓を構える→帛紗を取って、釜の蓋を開ける。 -
柄杓を釜に置く時(茶筅通しのためのお湯を汲んだ後) 切り柄杓。 置き柄杓。 以降は切り柄杓と置き柄杓が交互になるので、表千家と裏千家で毎回逆になります。
茶筅通し(3回) 茶筅を茶碗の中に入れる(左手は、持ち上げて調べる時に添える)→時計回りに12時の方向から6時まで→反時計回りに6時から9時まで→右に倒す→持ち上げて調べる(持ち上げて調べる回数は3回、茶碗の縁にあずける回数は3回) 茶筅を茶碗の中に入れる(と同時に、茶碗に左手を添える)→右に倒す→持ち上げて調べる(茶碗の縁にあずける回数は3回、持ち上げて調べる回数は2回) どちらもカウントは3回なのですが、持ち上げて調べる時点でカウントする(表)か、茶碗の縁にあずける時点でカウントする(裏)かで違うようです。
茶筅通しの後(建水に捨てる時) 反時計回りに2・3回まわしてから捨てる。(飲む時のように茶碗を回転させるのではなく、茶碗を傾けて、お湯で茶碗の横を温めるようにして回します。) 回さずにそのまま捨てる。 -
  表千家 裏千家 メモ
茶碗を拭く時(三回半拭いた後) 茶巾を抜き上げて、茶碗の中に茶巾を表面を上にして横に置く→真ん中をつまんでリボンのようにする→左・右・真ん中と拭く(茶巾を釜の蓋の上に置く時も、リボン状態のまま縦に置く) 茶巾を抜き上げて、茶碗の中に茶巾を裏面を上にして縦に置く→上三分の一を折る→(裏面を上にしたまま)左・右・左・右と拭く(最初の左・右で比較的外側、後の左・右で比較的内側を拭く)→表面に返す -
抹茶を入れるために茶杓を取った後 (特に何もしない) 「お菓子をどうぞ」と言って軽く礼をする。 -
棗の蓋を開けて、蓋を置く時 棗の蓋は、茶碗の右横に置く。 棗の蓋は、右膝頭に置く。(茶碗の斜め右下あたり) -
茶碗に抹茶を入れる時 一勺半(茶杓1.5杯ぶん)入れて、抹茶をさばく。(=山になっているのを崩す) 二尺(茶杓2杯ぶん)入れる。(抹茶はさばかない) 抹茶の量が違うので、表千家で泡を沢山立てようとしても難しいです。
抹茶を泡立てる時 適度に泡立て、泡の無い部分(=海)が半月状に残るようにする。泡もうっすらとした感じ お茶の表面を全て、細かい泡がふっくらと覆うように点てる。(真ん中が盛り上がるぐらい泡立てる。) 世間一般の、泡泡なイメージのお抹茶は裏千家です。
お茶を出す時 右膝の横に仮置きする→体を斜めに向ける→茶碗を反時計回りに回して出す。 (斜めを向かず正面を向いたまま)茶碗を時計回りに回して出す。 回す方向が逆です。
  表千家 裏千家 メモ
[半東]菓子鉢を出す時 菓子鉢の正面を自分の側にして運び、客の前に置いてから、畳の上で回して出す。 菓子鉢の正面を向こう側にして運び、回さずに出す。 -
[客側]懐紙を使う時 二つ折りの懐紙の、一番下の1枚を上に回して懐紙の裏面を表にしてから、お菓子を乗せる。(最近は、表千家も懐紙の表面を使うという噂も…?) 二つ折りの懐紙にそのまま懐紙の表面にお菓子を乗せる。食べ終わった後、一番下の1枚を上に回して仕舞う。 表千家は懐紙の裏面を使うので、絵入りの懐紙は主に裏千家で使われます。
[客側]茶碗を拝見する時 畳のへりの内で拝見する。 畳のへりの外で拝見する。 -
[客側]茶碗を返す時(拝見後) 反時計回りに回して返す。 時計回りに回して返す。 (ちょっとうろ覚えですが、多分逆だったと思います。)
戻ってきた茶碗を取り込む時 斜めを向いて茶碗を取り込んで、斜めを向いた時の正面に仮置き→正面を向いて、右膝の前にある茶碗を正面に取り込む。 正面を向いたまま、茶碗を取り込む。 -
戻ってきた茶碗をお湯ですすぐ時 茶碗にお湯を入れ、茶筅通しの後と同様に2・3回まわして捨てる。 茶筅通しの後と同様、回さずにそのまま捨てる。 -
茶筅通しのために水を茶碗に入れた後 柄杓を、置き柄杓で釜にかける。 柄杓を、引き柄杓で釜にかける。 引き柄杓:指をまっすぐ揃えて手前に柄の先(切止)まで引き、柄の先をつまむようにして置きます。表千家も、男点前は引き柄杓らしいです。
茶筅通し(2回) 最初の茶筅通しと同様だが、回数が1回少ない。(持ち上げて調べる回数は2回、茶碗の縁にあずける回数は2回) 最初の茶筅通しと同様だが、回数が1回少ない。(茶碗の縁にあずける回数は2回、持ち上げて調べる回数は1回) 最初の茶筅通しと同様、カウントのタイミングが違います。
茶杓をふく時 建水を下げて帛紗を腰から取る→ちり打ちをする→帛紗をさばく→茶杓をふく。 茶杓を右手で取る→茶杓を持ったまま、建水を下げて帛紗を腰から取る→茶杓を持ったまま、帛紗をさばく(ちり打ちはしない)→茶杓をふく。 -
釜に水を差す時 2杓(柄杓に2杯)差す 1杓(柄杓に1杯)差す 裏千家のほうがお釜のお湯の減りが早いです。
拝見のために建水の前に茶碗を仮置きする時 二手(左手→右手)で仮置きする。 一手(右手)で仮置きする。 -
拝見で棗をふく時 点前の時と同様、「こ」の字にふいて、甲拭きなし。 点前の時と同様、上下をふいてから甲拭きする。 -
棗の口縁をふく時 棗の蓋を左膝の前に置く→棗の口縁をふく→帛紗を蓋の右横に置く→蓋を持って閉める 棗の蓋を正面に置く→棗の口縁をふく→帛紗を握り込んだまま蓋を持って閉める→帛紗を正面に置く -
茶杓を出す時 左手で節のあたりを持ったまま、右手で切止のあたりを持って、茶杓を横にして右手を節まで滑らせる(鏡柄杓の状態から水を汲む時と似た感じ。ただし、右手は下からではなく上から持つ)→切止が客側になるように右手で節のあたりを持って出す。(茶杓が反時計回りに回ることになる。) 左手で持っている部分のすぐ上を、右手で逆手に持って、片手で回して出す。(茶杓が時計回りに回ることになる。) -
建水を下げる時 茶道口が閉まっているので、開けて出て行く。 茶道口は空いているので、そのまま出て行く。 -
拝見に出した棗と茶杓を下げる時 右手で茶杓を持って左手に持たせ、右手で棗を持って下がる。 右手で棗を持って左手の上に載せ、右手で茶杓を持って下がる。 -
茶道口で挨拶のために棗と茶杓を置く時 正面に、棗と茶杓を同時に置く。 斜め前(建付側)に茶杓を置いてから、茶杓の隣(自分側)に棗を置く。 -
[水屋]茶巾を畳む時(絞った後、広げて伸ばす時) 長い辺→短い辺→長い辺と、合計3辺を伸ばす。 長い1辺だけを伸ばす。 -
[その他]濃茶で飲み口をぬぐう時 乾いた懐紙でぬぐう。 濡らした小茶巾(紙製で使い捨ての紙茶巾が主流)でぬぐう。 濡らした小茶巾を入れておく「茶巾入れ」は、多分裏千家限定です。
[その他]運営方針 流派の規模は第二位。(戦前は最大流派だった?)とはいえ、茶道の2大流派の1つであり、その他の流派とは段違いの規模。
比較的伝統保守派。大人しいイメージ。
稽古重視で、あまり点前の手順書を出さない。
現在の最大流派。多角経営。
比較的伝統打破派。普及活動や出版物等、派手なイメージ。
家元や同門組織(淡交会)と密着した出版社(淡交社)も持っており、手順書も大量に。
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[その他]名称 お家元は「千宗左」。同門組織は「同門会」。お家元から派遣されてくる直属の先生は「玄関」さん。 お家元は「千宗室」。同門組織は「淡交会」。お家元直属の先生は「業躰(ぎょうてい)」さん。 お家元は代々同じお名前です。○○斎という斎号で区別します。

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制作&管理:時珠泉流